派遣で働くとは?しくみ・給料・3年ルール・困ったときの相談先を解説
派遣の雇用主は派遣会社で、仕事の指示は派遣先から受けます。給料・有給・社会保険を誰が担当するか、働く前に受け取る書類、3年ルールや日雇派遣のルール、外国籍の人が確認したい在留資格、困ったときの相談先をまとめました。
この記事の要点
- 派遣では、雇用契約を結んで給料を払うのは派遣会社、仕事の指示を出すのは派遣先の会社
- 働く前に、派遣会社から労働条件と就業条件(仕事内容・場所・期間・責任者など)を書面で受け取る
- 有給休暇・社会保険・雇用保険は、条件を満たせば派遣会社を通じて利用・加入できる
- 30日以内の日雇派遣は原則禁止で、同じ部署で働けるのは原則3年まで
- 困ったときは派遣会社と派遣先の責任者に相談し、解決しなければ労働局などの公的窓口へ
派遣(はけん)は、派遣会社に雇われて、派遣会社と契約している別の会社(派遣先)で働く働き方です。雇用主は派遣会社なので、給料を払うのも、有給休暇や社会保険の手続きをするのも派遣会社です。一方で、毎日の仕事の指示は派遣先から受けます。この記事では、派遣のしくみ、アルバイトとの違い、働く前に確認したい書類とルール、困ったときの相談先をまとめました。
派遣とは?3者の関係を整理
派遣には、あなた・派遣会社・派遣先の3者が関わります。誰が何を担当するかを知っておくと、困ったときに誰に相談すればいいかが分かります。
| 立場 | 主な役割 |
|---|---|
| 派遣会社(派遣元) | あなたと雇用契約を結ぶ。給料の支払い、有給休暇、社会保険・雇用保険の手続き、働く条件の説明をする |
| 派遣先 | 実際に働く職場。仕事の指示、勤務時間や休憩の管理、職場の安全を担当する |
| あなた(派遣で働く人) | 派遣会社に雇われ、派遣先の指示を受けて働く |
派遣の事業を行うには、厚生労働大臣の許可が必要です。許可を受けた派遣会社には「派13-123456」のような許可番号があり、厚生労働省の人材サービス総合サイトで確認できます。同じサイトでは、派遣会社ごとのマージン率や派遣で働く人の平均賃金なども公開されています。
アルバイトや直接雇用とどう違う?
| 項目 | 派遣 | アルバイト(直接雇用) |
|---|---|---|
| 雇用主 | 派遣会社 | 働く店舗・会社 |
| 給料を払う人 | 派遣会社 | 働く店舗・会社 |
| 仕事の指示 | 派遣先 | 働く店舗・会社 |
| 応募・面接 | 派遣会社に登録・面談。派遣先による選考のための面接は原則なし | 働く店舗・会社が面接 |
| 働ける期間 | 同じ部署は原則3年まで(例外あり) | 契約による |
| 短期の仕事 | 30日以内の日雇派遣は原則禁止 | 1日だけの仕事もある |
派遣会社が仕事を探してくれる、いろいろな職場を経験できる、といった点は派遣ならではです。一方で、職場(派遣先)と雇用主(派遣会社)が別なので、困ったときの相談先が2つあることを覚えておきましょう。
給料・交通費・有給休暇・社会保険は誰が担当する?
給料と待遇
給料は派遣会社から支払われます。2020年4月から、派遣で働く人の待遇は、派遣先の社員との不合理な差がないようにする方式か、派遣会社が労働者の代表と結んだ協定で決める方式のどちらかで決めることになっています。派遣会社は、雇い入れるときと派遣するときに待遇を説明する必要があり、あなたが求めれば、派遣先の社員との待遇の違いとその理由も説明しなければなりません。説明を求めたことを理由に不利な扱いをすることは禁止されています。2026年10月からは、待遇の違いについて説明を求められることも、働く条件と一緒に伝えることになりました。
交通費
交通費の扱いも、上の待遇の決め方に沿って派遣会社が決めます。求人や労働条件の書面で、支給の有無と上限を確認しましょう。
有給休暇
有給休暇は、雇用主である派遣会社から付与されます。雇い入れから6か月続けて働き、決められた労働日の8割以上出勤すると、アルバイトと同じように有給休暇が付きます。使うときは派遣会社に申し出ます。
社会保険・雇用保険
健康保険・厚生年金や雇用保険は、加入条件を満たせば派遣会社が手続きをします。雇用保険は、週20時間以上働き、31日以上働く見込みがある場合が対象です(2028年10月からは週10時間以上に広がる予定です)。
働く前に必ず受け取る書類
派遣で働くときは、次の内容を書面などで受け取ります。口約束だけで働き始めないようにしましょう。
- 労働条件通知書:契約期間、給料、勤務時間、休日など。すべての働き方で雇用主が渡すもの
- 就業条件明示書:派遣先の名前と場所、仕事の内容、派遣の期間、勤務時間、派遣先と派遣会社の責任者、苦情の申し出先など。派遣で働く前に派遣会社が渡すもの
求人と内容が違う場合は、働き始める前に派遣会社に確認してください。
派遣で働くときの主なルール
同じ部署で働けるのは原則3年まで
同じ派遣先の同じ部署(課など)で派遣として働けるのは、原則3年までです。3年働く見込みがあり、あなたが働き続けたいと希望する場合、派遣会社は派遣先への直接雇用の依頼、別の派遣先の紹介、派遣会社での無期雇用などの措置をとらなければなりません。派遣会社に期間の定めなく雇われている人、60歳以上の人、育児休業などの代わりに働く人などは、この制限の対象外です。
30日以内の日雇派遣は原則禁止
派遣会社との雇用契約が30日以内の「日雇派遣」は、原則として禁止されています。例外は、ソフトウェア開発・通訳・受付案内など法律で決められた一部の業務か、60歳以上の人、昼間の学校に通う学生(夜間・定時制・通信制を除く)、本業の年収が500万円以上で副業として働く人、世帯年収が500万円以上で世帯の主な稼ぎ手ではない人に限られます。そのため、1日だけの単発の仕事は、派遣ではなく直接雇用のアルバイトとして募集されるのが一般的です。
派遣先による事前面接は原則なし
派遣先が働く人を選ぶための面接や履歴書の提出は、行わないよう法律で求められています。ただし、働く人が自分から希望して職場を見学することはできます。
紹介予定派遣
紹介予定派遣は、派遣で働いたあと、本人と派遣先が合意すれば派遣先に直接雇用される働き方です。派遣の期間は最長6か月で、この場合は派遣先による面接も認められています。
派遣では働けない仕事
港湾運送、建設、警備、病院などでの医療関係の仕事(一部例外あり)、弁護士・税理士などの一部の士業は、法律で派遣が禁止されています。
外国籍の人が確認したいこと
派遣で働けるかどうかは、在留資格によって変わります。迷ったときは、応募前に派遣会社に在留カードを見せて確認しましょう。
| 在留資格 | 派遣で働けるか |
|---|---|
| 永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者 | 仕事の内容に制限なく働ける |
| 留学・家族滞在(資格外活動許可あり) | 原則週28時間以内で働ける。ほかのアルバイトと合計して数える |
| 技術・人文知識・国際業務など | 在留資格で認められた仕事の内容なら働ける |
| 特定技能 | 派遣で働けるのは農業・漁業の分野だけ |
| 技能実習 | 派遣では働けない |
在留資格ごとの働き方は、外国籍の方へのページでも確認できます。
困ったときの相談先
給料が書面と違う、聞いていない仕事をさせられる、ハラスメントを受けたなど、困ったことがあれば次の順番で相談しましょう。派遣会社と派遣先には、派遣で働く人の苦情に対応する責任者がいます。
| 相談先 | こんなとき |
|---|---|
| 派遣会社の担当者・派遣元責任者 | 給料、有給休暇、契約、派遣先でのトラブル全般 |
| 派遣先の責任者 | 職場での仕事の指示、勤務時間、安全、ハラスメント |
| 都道府県労働局(需給調整事業の担当) | 派遣会社や派遣先が派遣のルールを守っていないとき |
| 労働基準監督署 | 給料の未払い、長時間労働、けがなど労働基準法に関わること |
| 総合労働相談コーナー | どこに相談すればいいか分からないとき。外国語での相談に対応している窓口もある |
派遣のルール違反を労働局に申告したことを理由に、解雇などの不利な扱いをすることは法律で禁止されています。
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